旧き時代
人は自然と共にありました
自然は人を慈しみ、人もまた自然を慈しんでおりました
自然には精霊の類が宿るとされており
森羅万象全てを司るといわれておりました
天災もまた、精霊たちが人間が奢らぬ様起こすのだと言われていました
そんな自然に人々は畏怖と尊敬の念を抱き
崇め、『四季園(しきえん)』と呼ばれる地へと奉りました
その役を担ったのが『舞御子(まいこ)』と呼ばれる女性でした
彼女は自然と対話できる能力を有し
自然の化生とも言われる精霊の姿を見ることができたといいます
彼女が『四季園』を見守り、精霊たちと折衝することで
人々の安全な生活を守ってきたのだといわれています
それから長い長い年月が過ぎて
ある日
私のところに手紙が舞い込んできました
麓の村で天災が続き、皆、困り果てているとのことです
私は不安と共に扇を手に取り
『四季園』へと向かいました